保育士不足や待機児童問題など、保育所に代わる保育の場として注目されている「チャイルドマインダー」についてご紹介します。

イギリスで生まれたチャイルドマインダーの起源とその歴史、現在の日本でチャイルドマインダーが求められている能力についてお伝えします。

チャイルドマインダーとは

・child(子ども)、minder(世話をする人)で、直訳すれば「子どもの世話をする人」で、家庭的な環境で保育をする資格の名称です。

・チャイルドマインダーは、イギリスで100年以上の歴史を持つ、国家職業資格です。
日本では民間資格で、90年代に養成学校や日本チャイルドマインダー協会が設立されました。

日本で家庭外保育というと保育所が一般的ですが、イギリスでは家庭外保育を必要としている家庭の7割がチャイルドマインダーを利用しています。

・ベビーシッターは子どもを見守るだけですが、チャイルドマインダーは子どもの特性に合わせて教育、しつけも含めた保育を行います。保護者と子育ての方向性を話し合い、その意見を保育に取り入れる事もします。

・預かる子どもの年齢は0~12歳までで、1施設5名までと定められています。
保育所などの集団保育と異なる少人数保育を行います。集団保育よりも子ども1人1人の特性に合わせたきめ細かな保育をする事が出来ます。

・チャイルドマインダーになるには、英国の協会の認証を受けた日本の協会、団体の養成講座を受講後、試験に合格する事が必須となります。

英国チャイルドマインダーとその歴史

イギリスでは1760年代から産業革命が始まり、それに伴って働きに出る女性が増えていきました。働きに出る女性の子を、他人が時には自分の子と一緒に保育していました。

しかし、預かる側の資質によって子どもの保育環境が異なってしまうとして、問題となりました。均一な質の保育環境を提供できるように、1977年に英国チャイルドマインダー協会が設立され、チャイルドマインダーの質を向上させるための研修を行い、チャイルドマインダーの社会的評価を上げるための活動をしてきました。

1985年にはチャイルドマインディングに関する法律が制定され、1989年に成立した児童法では保育する子どもの人数の基準や、保育者の基準が設定されました。

イギリスのチャイルドマインダーは、カリキュラムを学習した後に自治体に登録をしなければ仕事をする事が出来ません。子どもを預けたい保護者は、チャイルドマインダー協会を通して契約を結び、チャイルドマインダーに子どもを預けます。

英国チャイルドマインダー協会

1977年に設立した英国チャイルドマインダー協会(NCMA.UK)は、政府の委託を受け、チャイルドマインダーの質の向上を目的とした研修や、職業としての社会認知を広める活動を行っています。また、子どもを預けたい保護者と、子どもを預かる事の出来るチャイルドマインダーをつなぐ役割も担っています。

英国チャイルドマインダー協会が開発した、保育に必要な専門的技術と知識を得るためのトレーニングは、日本でも受ける事が出来ます英国協会公認のNCMA,Japanは、日本で初めて英国式チャイルドマインダーを組織化、体系化しました。NCMA,Japanの講習を受けると、イギリスのトレーニングを修了したと同等とみなされます。

日本で求められる能力

日本では、戦後から「福祉」として集団の中での保育を行ってきて、現在もそれが一般的となっています。

そして、保育所は福祉施設であり、幼稚園は教育機関であるという線引きがされていましたが、近年ではその線引きが薄れ、幼稚園では預かる時間を延ばしたり、保育所でも教育を行ったりと、両方の特性を持つ「こども園」も誕生しています。

それは、家族が就労により子どもと接する時間が短くなり、長時間保育の需要の高まりと、家庭に代わって教育を行う必要性が出てきたという事です。

少人数保育であるチャイルドマインダーが求められているものも同じですが、集団保育よりも子どもと密接に関わる事が出来る分、保護者の期待も大きいと言えるでしょう。

では、家庭で大人が子どもに教える事とは一体何でしょう。算数や国語などの勉強だけが教育内容ではありません。

  • して良い事、悪い事の判断
  • あいさつなどの礼儀作法
  • 友達との関わり方、トラブルの解決の仕方
  • 諦めないで挑戦することの大切さ

上記のような、生きていく上で大切な事をまず教えるのは、他でもない家庭です。

残念ながら近年の日本では、家庭でDVDや携帯電話に子守りをさせ、子どもと充分な関りを持たない保護者も増えています。また、子どもに学ばせるのは学校や保育機関の仕事だとして、家庭で子どもに充分な教育を行わない保護者もいます。

チャイルドマインダーは、こういった保護者とも上手にコミュニケーションを取り良好な関係を築き、家庭内外で共に子どもを育てるという保護者の意識も育てつつ仕事をしていく事が求められています。